August 15, 2010

社内英語化、やりたきゃやればいいんじゃないの?

ちょっと旬を過ぎた話題になりますけど、楽天やユニクロが社内の共通語を英語にすると決めたという話。三木谷・楽天社長は決算報告の会見を英語で行って注目を浴びたりしておられます。社内共通語を英語にするということについては賛否両論ですが、なんとなく反対派の人の声が大きいように見えます。どうなんでしょうか。

「能力があって英語が出来ない人と、能力がなくて英語が出来る人、英語化すると後者が優勢になって会社のためにならない。」
「能力があっても、苦手な英語では能力が十分に発揮できない。いつもアウェイで勝負するような不利な状況に置かれる。」
「顧客とは英語で仕事できない。佐川の配達員にも英語で対応するのか?」
「日本人同士で英語で話をしているのは滑稽だし、不気味だろう。」
「TOEICが基準点に達しないとクビなのか。それってひどすぎる。」

などなど。たしかに一理あるように思いますけれども、私は、どちらかというと「英語化?いいんじゃないの?」という感想を持っていますよ。だって、一企業の判断なんですもん。会社にとって、社内を英語化した方が商売がやりやすい、そちらの方が会社の成長にとって都合が良い、と判断されたということなので、だったらそうすればいいんじゃないですか?という、安易な考えなんですけれどもね。

楽天もユニクロも、グローバル展開を図っていくには世界各地に存在する(ことになる)事業所間で円滑なコミュニケーションが必要で、そのためには日本語を標準としていたのでは都合が良くない、と判断されたのでしょう。また、グローバル・マーケットに打って出るに際して、社員の英語力の不足を感じ、多少の無理を押してでも英語化を宣言した方がよいと思われたのでしょう。英語化による非効率の発生を天秤にかけても、やっぱり英語化した方がビジネス上の利点が多いと判断されたということで、周りがとやかく言うことでもないかなと思っています。

「能力があって英語が出来ない人と、能力がなくて英語が出来る人、英語化すると後者が優勢になって会社のためにならない。」って、その通りになってしまって会社の業績に影響がでるような事態になれば、それは経営判断としての英語化が間違っていたということになるだけです。

たしかに見回してみると、かつてのように海外事務所に日本から社員を赴任させ、本社の指示を仰ぎながら事業を展開する駐在員派遣型の海外事業展開は、今どきの国際市場では非効率が目に余るものになりつつある。中国市場でもインド市場でも、現地には優秀でグローバルな人材はたくさんおり、わざわざ日本人を送らなくても、現地の人材を採用した方がよほど効率的だと思う。現地の人の方が、現地の言葉、現地の商習慣にも通暁しているわけですし。海外生活が不慣れな日本人がオタオタしながらなんとか現地に順応し、それからやっと仕事に取り組みます、というのではなんとも遅いし、現地で雇った人には太刀打ちできないでしょう。現に、パナソニックは新規の採用の8割は外国人にする、ということになっているらしいし。

そういう国際的なビジネス環境になれば、社内の標準言語を英語にした方がいいかもね、という判断もありえるだろうなぁとも思いますよ。

公立学校や役所が英語を標準にするという話ではないのです。そんな話には断固反対ですよ、もちろん。十分な母国語の運用能力があっての外国語だし、言語は文化と一体のもので、それをおろそかにはできない。英語教育を小学校から義務化する、なんていう話も、考えなくてはいけないことがたくさんありそうで、「はいそうですか」とは賛成できないです。

ただ、グローバル市場で商売をする一企業の判断としての社内の英語化は、別の話。英語化が便利だと思えば、その便益が不便を上回るのであれば、そうすればいいじゃないって思うんです。

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